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)トヨタS800/Toyota Sports800

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*TOYOTA CLASSIC*

■ トヨタS800/Toyota Sports800

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 和製ライトウェイト・スポーツカー、そんな形容がふさわしいトヨタ・スポーツ800。「ヨタハチ」「ヨタッパチ」の愛称とともに、慎ましやかで身近かにあった愛すべき小型スポーツだ。まだわが国産車が発展途上にあった1960年代、技術的にはまだおぼろげではあったけれど、発想はいまより豊かだったのではないか、そんなことを思わせる1台でもある。
 国民車、ベイシックカーとしてつくられた、その名もトヨタ・パブリカ(パブリック・カーからの造語)。シトロエン2CVを思わせる空冷フラット・ツウィン(水平対向2気筒)エンジンを搭載した小型車をベースに、トヨタS800は企画された。限られたパワーでそこそこの性能を得るために、ボディをできるだけ軽量化する。一部フードなどにアルミを用いた軽量化に加えて、スタイリングも軽飛行機を参考に空力的に優れたものとした。クラシカルではあるけれど、いま見てもその発想が新鮮にみえるプロポーションは、トヨタS800の個性、存在意義そのものといっていい。
 そのむかし、少しの間だけれどトヨタS800を所有していた時期がある。すっかり色あせて錆がところどころに浮いた塗装をはじめ、いろいろ不具合の多い「程度並み」のトヨタS800ではあったけれど、パラパララン、という軽快なエンジン音とともに、走り出せば気分は爽快、スポーツカー・テイストを味わうことができた。いま欲しい種類のクルマ、安全基準やその他規制の多くなったいまではつくり出すことは不可能なことは百も承知だが、そんなに高性能でなくとも、走る快感が味わえる「ヨタハチ」のようなクルマがクルマ本来の魅力を一番端的に伝えてくれる。

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